計画研究
B01 負ミュオンビームを用いた新たな非破壊元素分析法

近年の加速器技術の進歩によりJ-PARCにおいて得られるようになった高強度の負ミュオンビームは全く新しい非破壊元素分析法、ミュオン元素分析法を可能にしました。この新手法により、これまで不可能であった物質の内部の軽元素の分析が可能となり、基礎研究だけではなく、産業界や考古学といった全く別の分野での応用研究が始まりつつあります。

本研究班の活動と領域内の各研究との連携本研究班では、宇宙観測実験用として開発された高空間分解能のイメージング装置、エネルギー分解能の優れた検出器を応用することで、ミュオンを用いた元素分析法を飛躍的に発展させ、バルクな試料に対し軽元素の同位体情報を含めた非破壊3Dイメージングという、これまでに実現できていない新しいタイプの元素分析法を開発することにしています。これを実現するために、ミュオンビームラインに接続した専用の実験システムを構築し、元素分析法としての基礎研究を行い、新測定手法を確立する予定です。このシステムを用いて、貴重なもの、破壊すると意味のなくなる様々な物体の分析を実施することができるようになります。初期の具体的な研究対象として、動作中の電池内の元素移動プロセスの可視化、隕石をはじめとする地球外試料の内部に含まれる炭素原子の検出、考古学遺物の同位体情報、元素分布の解明、生体試料での成長に合わせた元素分布の変動の可視化を行う予定です。

メンバー

研究代表者
二宮 和彦(大阪大学 大学院理学研究科)
研究分担者
大澤 崇人(日本原子力研究開発機構)
齋藤 努(国立歴史民俗博物館)
研究協力者
梅垣 いづみ(株式会社豊田中央研究所)
中村 智樹(東北大学 大学院理学研究科)
寺田 健太郎(大阪大学 大学院理学研究科)
高妻 孝光(茨城大学 大学院理工学研究科)
久保 謙哉(国際基督教大学 教養学部)
谷口 秋洋(京都大学 複合原子力科学研究所)
篠原 厚(大阪大学 大学院理学研究科)
上野 祥史(国立歴史民俗博物館)
高橋 忠幸(東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU) )
三宅 康博(高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所 (KEK-IMSS))

関連資料

  • ・An evaluation method of reflectance spectra to be obtained by Hayabusa2 Near-Infrared Spectrometer (NIRS3) based on laboratory measurements of carbonaceous chondrites. Matsuoka M., Nakamura T., Osawa T., Iwata T., Kitazato K., Abe M., Nakauchi Y., Arai T., Komatsu M., Hiroi T., Imae N., Yamaguchi A., Kojima H. Earth, Planets and Space、69, 120 September (2017) 10.1186/s40623-017-0705-42
  • ・「色付 --人文科学と自然科学からみた江戸時代の職人技--」 齋藤努 『〈総合資料学〉の挑戦 異分野融合研究の最前線』国立歴史民俗博物館編(吉川弘文館)、155-160、March (2017) ISBN 978-4-642-03866-9
  • ・Negative muon induced elemental analysis by muonic X-ray and prompt gamma-ray measurements. Ninomiya, K.; Inagaki, M.; Kubo, M. K.; Nagatomo, T.; Higemoto, W.; Kawamura, N.; Strasser, P.; Shimomura, K.; Miyake, Y.; Sakamoto, S.; Shinohara, A.; Saito, T. Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry、87, 65-69 March, (2016) 10.1007/s10967-016-4772-y
  • ・Nondestructive Elemental Depth-Profiling Analysis by Muonic X-ray Measurement K. Ninomiya, M. K. Kubo, T. Nagatomo, W. Higemoto, T. U. Ito, N. Kawamura, P. Strasser, K. Shimomura, Y. Miyake, T. Suzuki, Y. Kobayashi, S. Sakamoto, A. Shinohara, T. Saito Analytical Chemistry、87(9), 4597-4600 April, (2015) 10.1021/acs.analchem.5b01169
  • ・A new X-ray fluorescence spectroscopy for extraterrestrial materials using a muon beam K. Terada, K. Ninomiya, T. Osawa, S. Tachibana, Y. Miyake, M. K. Kubo, N. Kawamura, W. Higemoto, A. Tsuchiyama, M. Ebihara, M. Uesugi Scientific Reports、 4, 5072 May, (2014) 10.1038/srep05072