計画研究 概要

計画研究 C01 宇宙硬エックス線・ガンマ線検出テクノロジーの異分野への展開
研究代表者 高橋 忠幸 (東京大学)

宇宙観測研究から生まれた X 線・ガンマ線センサー技術, 特に本研究班が世界に先駆けて開発した大面積テルル化カドミウム (CdTe) 半導体イメージャを用い, 本領域を進めるにあたって必要な横断的な検出器開発を行うとともに, 様々な応用分野に展開をはかることを目的とします。加速器実験や宇宙観測のために開発された検出器が, 医療, 生物, 物性等の様々な分野で応用されてきたことを改めて認識し, 基礎科学と社会への応用の間での技術の循環を加速することで, 検出器技術を発展させ, さらに次世代の宇宙観測技術につなげることをめざします。

CdTe 半導体検出器の高度化, システム化と共に, 本研究が中心となり, 具体的課題として進めるのが, 小動物 SPECT 用ガンマ線イメージング装置の開発研究です。これによって, 100 keV から 600 keV までの連続エネルギー範囲で数 100µm 以下の画像分解能を持ち, かつ複数核種からのラインガンマ線を分離し, それらのガンマ線を同時に観測できるスペクトル性能を持ったイメージャを実現します。負ミュオンを用いた元素分析などの領域内の計画研究に応用すると同時に, 腫瘍内のがん細胞の性質や多様性を研究するための生体内ガンマ線 3D イメージング装置を開発します。また, 医学研究者と共同で, がん幹細胞を標的とする放射性プローブの研究を行い, 医学研究を開始する予定です。

本計画研究が開発を行う, がん幹細胞を標的としたイメージング技術の概念図。生体内のがん幹細胞(赤で表示)の分布を可視化し, その増加・減衰をモニターするために, 宇宙ガンマ線検出器技術を応用した高解像度のガンマ線 3D イメージング装置と, がん幹細胞に特異的に集まる放射性プローブ (RI Probe) の研究開発を行う。
本計画研究の中核機関の一つ, Kavli IPMU(東京大学柏キャンパス)。

メンバー

研究代表者 高橋 忠幸 (東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU))
研究分担者 武田 伸一郎 (東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU) )  
織田 忠 (東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU) )  
柳下 淳 (東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU) )  
能町 正治 (大阪大学 核物理研究センター)  
内山 泰伸 (立教大学 理学部)  
OLTEA, Sampetrean (慶應義塾大学 医学部)  
益子 高 (近畿大学 薬学部)  
研究協力者 渡辺 伸 (JAXA 宇宙科学研究所)  
池田 博一 (JAXA 宇宙科学研究所)  
CARADONNA, Pietro (東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU) )  
梅田 泉 (東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU) )  
桂川 美穂 (東京大学 国際高等研究所 カブリ数物宇宙研究機構 (Kavli IPMU) )  
佐谷 秀行 (慶應義塾大学 医学部)  
中野 隆史 (群馬大学 医学部)  
二宮 和彦 (大阪大学 放射線科学基盤機構)  

関連資料

  • S. Takeda, M. Katsuragawa, T. Orita, … , S. Watanabe, T. Takahashi … , “A high-resolution CdTe imaging detector with multi-pinhole optics for in-vivo molecular imaging,” Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. A, in press (2017), DOI: 10.1016/j.nima.2017.10.037 .
  • M. Katsuragawa, M. Tampo, … ,Y. Miyake, … , T. Takahashi, S. Takeda, S. Watanabe et al., “A compact imaging system with a CdTe double-sided strip detector for non-destructive analysis using negative muonic X-rays,” Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. A, in press (2017), DOI: 10.1016/j.nima.2017.11.004 .
  • A. Yagishita, … , H. Saya et al., “Development of highly selective fluorescent probe enabling flow-cytometric isolation of ALDH3A1-positive viable cells,” Bioconjug. Chem. 28, 302–306 (2017), DOI: 10.1021/acs.bioconjchem.6b00618 .
  • H. Nobusue, … , H. Saya et al., “Regulation of MKL1 via actin cytoskeleton dynamics drives adipocyte differentiation,” Nat. Commun. 5, 3368 (2014), DOI: 10.1038/ncomms4368 .
  • T. Takahashi, S. Watanabe, … , S. Takeda, “High-resolution CdTe detectors and their application to gamma-ray imaging,” Biological and Medical Sensor Technologies, Ed. K. Iniewski, CRC Press, 339–366 (2012), ISBN: 9781138073210 .